2019年の「バレンタインデー」の推計市場規模は前年比約3%減の約1260億円。

2019年の「バレンタインデー」の推計市場規模は前年比約3%減の約1260億円。昨年の約1300億円から40億円減少。これは昨年秋の「ハロウィン」の推計市場規模約1240億円よりは大きいものの、2年連続の減少となってしまった。ではなぜ2019年の「バレンタインデー」の推計市場規模が約3%減少してしまったのか。その理由などを考察してみると・・。

1・「新しい〇〇チョコが見つからないから」。日本の「バレンタインデー」は女性から男性に愛の告白の印としてチョコレートを贈るという実に夢と希望に満ちたすてきな習慣化により発展をしてきた。それが職場での「義理チョコ」、学校での「友チョコ」、家族同士の「ファミチョコ」、日頃お世話になっている人への「感謝チョコ」、頑張っている自分へ「ご褒美チョコ」と、どんどんプレゼントする対象を広げていくことで市場規模を拡大することに成功してきた。しかし、自分にまで広がったあとの新たな大きな市場になり得る「〇〇チョコ」が生まれていない。健康志向の人に贈る「元気チョコ」。訪日外国人の人向けであり海外へのお土産になる「ニッポンチョコ」(バレンタインデーの時期に訪日する外国人は約170万人もおり、それなりの市場を形成しているがクォリティーの高さと廉価で種類の豊富な「ニッポンチョコ」はまだまだ伸びる可能性が高い)。厳しい環境にある人を励ます「エールチョコ」とかが生まれてこないものだろうか。この寒い時期に毎朝きちんと届けてくれる新聞配達の人と郵便配達の人、宅配の人に贈る「お届けマンチョコ」も対象がはっきりとわかってよいのではないだろうか。

2・「自分にしか関心がない人が増えたから」。「何でわざわざ誕生日でもない日に他人にプレゼントをしなくてはならないのか意味がわからない。いちばん大切なのはいかに自分が楽しく過ごせるかでしょ。だって自分の人生なんだから」という思いの人が増えている。恋をしたくない、しない人が増えているのも同様か。ならば自分以外の人と共通のルールで楽しむことが人生をどれほど豊かにしてくれるかをこどもの頃から感じる機会を増やすことが大切なのかもしれない。

3・「メディアの関心が節分の恵方巻に移ったから」。2月の年中行事化しているもので「バレンタインデー」は長い間メディアの関心を独占してきた。いかに国民の祝日の「建国記念の日」であっても、報道され話題になる情報量は微々たるもの。それは「建国記念の日」がその日だけの情報に対して「バレンタインデー」は1月中旬から全国津々浦々のスーパーやコンビニなどでその年のバレンタイン商戦が繰り広げられ、参入してくる新規企業、新商品がテレビなどで紹介され続け人々の生活の中に溶け込んできたからだ。ところがこの10年ほど「バレンタインデー」の10日ほど前の「節分」に「恵方巻を食べよう」「今年の恵方は・・・」などという話題が多くのテレビ番組や紙面で増え続け、定番となって「バレンタインデー」の話題が少なくなってしまった。日付は2月3日と2月14日なので「節分」の先手必勝、毎年変わる恵方と毎年変わらない告白ルールで「節分」の新鮮さの勝利。かくして「バレンタインデー」のアナウンス効果が減ってしまった。

4・「義理チョコはパワハラのひとつだから」。職場で「バレンタインデー」にチョコを贈るのが当たり前のようになってきたとき、某ニュースキャスター氏は番組で「僕は義理チョコが嫌いです。いりません」と語っていた。半強制的な雰囲気が世の中に蔓延することへの警鐘だったのだろう。現在では上司などが立場の弱い部下に対して権限にものを言わせて無理難題の行為を行えばパワーハラスメントだが、義理チョコもそのひとつという認識が広がりつつあるのではないか。もちろん贈る方、贈られる方の双方が職場の柔らかい雰囲気づくりのため、年に一度のお楽しみと感じて行っている分には他人がとやかく言うことではないが。

それでも「バレンタインデー」がこの8年間、約1200億円から1300億円台で市場規模を形成してきたのは見事というほかない。この日には必ず誰かにチョコなりギフトを贈るというバレンタインマニアが多数存在しており、年中行事となって社会に根付いている。中でも「女性から男性に愛の告白とともにチョコレートを贈る」というルールを提唱したメリーチョコレートカムパニーのアイデアと、そこにビジネスチャンスを見出して世界一の味とデザインのバレンタイン向け製品を作り続けてきた各チョコレートメーカーの努力に敬意を表したい。

(尚、推計市場規模の金額は億の単位の下一桁が0か5のどちらに近いかを判断し、近いほうに当てはめて発表。上記の文面、金額などを番組、紙面、Web上などでの使用を希望するときは必ず日本記念日協会まで連絡をして許可を得てください。TEL・0267-68-2465※土日・祝祭日を除く平日10時~17時のみ)

※写真はいずれも日本記念日協会に記念日登録されているチョコレート菓子。右上から時計周りにロッテの「Ghana」(ガーナチョコレートの日・2月1日)/ロッテの「トッポ」(トッポの日・10月10日)/明治の「たけのこの里」(たけのこの里の日・3月10日)/江崎グリコの「POCKY」(ポッキー&プリッツの日・11月11日)/明治の「きのこの山」(きのこの山の日・8月11日)/中央に森永製菓の「DARS」(ダースの日・12月12日)