2015年の「ハロウィン」の推計市場規模は前年比約11%増の1220億円。

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年々、その市場規模の拡大が続く「ハロウィン」だが、今年(2015年)はその推計が1220億円と、ついに1200億円を超えた。日本の人口が9月1日現在、概算で1億2685万人(総務省統計局)とのことなので、「ハロウィン」の市場規模に当てはめると一人約1000円となる。

1220億円という金額は日本記念日協会が推計を行っている記念日の中で、過去に「クリスマス」と「バレンタインデー」のふたつだけしか記録していない。カーネーションや装飾品、菓子類、ファッション、外食などを中心に市場のすそ野が広い「母の日」でも届いていない金額だ。

では「ハロウィン」が2011年の560億円の推計市場規模からわずか4年でその2倍以上になったのにはどんな理由があるのだろうか。まずおさえておきたいのは今の日本の「ハロウィン」は欧米で行われているものとは全く違うものということ。宗教的な祭事ではなく、子ども中心でもなく、若者や家族、職場や地域が主体となっていることと、企業が販売促進の一環として捉えている。つまり消費世代、消費時間、消費エリア、消費産業が幅広く、関連産業が無数にあり、年中行事になっているということだ。

こうした視点から考えてみると「ハロウィン」の急成長の理由が見えてくる。
1・仮装という非日常を体験できる自由な祭りを人々は求めていた(全国各地の秋祭りの衰退に反比例しているかのようにも思える)。
2・誰もが参加できる雰囲気があるので誘いやすく誘われやすい。友だちやグループなどでパレードに参加するのも、それを見るのもお手軽感があり、ハードルが低い。
3・2011年の東日本大震災以降、家族や地域の結びつきの大切さを思い、「ハロウィン」というみんなで参加して楽しむイベントで実感したいという人が増えた。
4・魔女やゾンビ、キャラクターのコスプレの行列など「絵になる」要素が多く、誰かに伝えたいというメディアやSNSの世界には絶好の機会である(SNSで拡散された日本の「ハロウィン」の楽しさ、面白さ、上質さは海外にも拡散し、わざわざこの時期に訪れる外国人も増えている)。
5・年中行事のようになればその関連商品は間違いなくある程度は売れるので「ハロウィン」のように自由度の高いイベントは「もしかしたらウチの商品、サービスでも参入できるんじゃないか」と思う企業が増えた(パッケージを「ハロウィン」仕様にする商品、料理を「ハロウィン」メニューにする店が急増した)。
6・地域の再生を模索する地方の商店街や百貨店、小売店にとって、地域密着を謳うのに最適な新しい行事になっている。
7・「ハロウィン」の様子が話題になればなるほどメディアが取り上げる機会が増大し、それがまた新しい話題を呼び、情報量が雪だるま式に増えていく(日本記念日協会への「ハロウィン」に関する取材の申し込みは10月10日時点で4前年の28件から61件と2倍以上の33件も増えている。

まだまだいくつもの要素が考えられるが、ひとことでまとめると「日本人は記念日が大好きで、そこにビジネスチャンスを見い出す能力に長けている」ということではないか。